京都市交響楽団 http://www.kyoto-symphony.jp/
9月5日の京都交響楽団による定期演奏会は素晴らしかった。
建て直されて新しくなった京都コンサートホールhttp://www.kyoto-symphony.jp/
が満席になるほどの客の入りである。
曲は、ラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」「マ・メール・ロワ」。ドビュッシー、ストラヴィンスキーのバレー組曲「火の鳥」
指揮は、ジャン・クロード・カサドシュ というフランス人。
何より驚いたのは、カサドシュが、79歳という年齢にも拘わらず、背中がしゃんとしており、指揮に品があり、「火の鳥」という激しくもややこしい現代音楽を、汗もかかずに(見ていたわけではないが、さっそうとして余裕がある背中からこう感じるのである)力強く振り切ったことであった。
又、京響のメンバーの音の良かったこと、集中していたこと。
こう云っては失礼なのだが、40年前の京響のイメージが抜けきらず、地方のシンフォニーであり、そこそこの音である、と、どこかで諦めているところがあった。楽団員の皆様、本当にすみません。
もちろん、メンバーも一新され、コンサートマスターは見るからに若者である。泉原隆志さん。実力がある方なんでしょうね、と隣の夫にささやく。実際、ソロの部分をこのコンサートマスターが弾き、キーンと耳が痛くなるような高音を大げさな身振りもなく弾き切った。
指揮者が団員の音を引き出しているのだろうか、と思う。フルートやピッコロなども濁りがなく素晴らしかった。確かに、指揮者によって音が変わることは何回も経験している。何と言うか、ひとりひとりの指揮者への信頼と集中力が、音を素晴らしくする。
いやいや、元々ここまでの実力のあるシンフォニーなんでしょう。だからこそ、この大入り満員なんでしょう。それでいて友の会に入っているので、S席で4500円。何と言う贅沢。近頃、これほどの満足感を4500円で買えた経験は思い出せない。美容院に行けば、カットしてもらうだけでこれくらいかかる。
比べるのもおかしいが、コンサートと美容院の違いは、美容院は、イライラしながら膨大なお金を取られ、息子より若そうな美容師に「センセイ」と言わねばならないにも関わらず、満足した仕上がりになるとは限らないことだ。
、それに比べると、国内の定期演奏会に限ると、このようにりっぱな外国人のコンダクターを迎えて、血の滲むような努力の末芸大に入り、オーディションを受けて楽団員となれた30、40名の人々が、日々練習を重ねた上、客のために少しでも良い音を出そうとサービスしてくれて、2時間でカットと同じ料金であるということだ。彼らは美容師の何十倍もの時間と勉強代を支払い、人前に出て演奏することを許される。この業界間格差をどのように納得するべきか。
そうそう、老指揮者のカサドシュのことでした。
我々夫婦は66歳と65歳。カサドシュに比べるとまだまだ諦める年齢ではない。あの後ろ姿と京響の優秀な音を聞きながら、全く恐れ入った。努力を怠ってはいけないし、世間を甘く見てもいけないし、尊敬されるとはどういうことかを、古くなった頭で考える機会を持てたことが新鮮だった。