モーツアルトフェスタ in レジデンツ in ヴュルツブルク
昨年のヴュルツブルクのレジデンツで行われたモーツアルトフェスタについて、今頃アップの機会を得た。
モーツアルトフェスタは、毎年5月から6月後半にかけてヴュルツブルクの世界遺産、レジデンツを中心に行われる。
「中心に」というのは、町のあちこちで小さな演奏会が期間中開かれているからである。
中には無料のものもあるが、レジデンツで行われるものはすべて有料である。
しかし、日本のことを考えると総じて格安、という印象である。
そういうわけだから、まず、プログラムを手に入れるところから始めなければならない。
前年の12月ころからプログラムの注文を始めると、送られてくるのは1月の後半。
そこから内容を見て、欲しいチケットを注文するわけだが、あまりに多すぎてよくわからないが、特別な番組をまず聴かなくては、と高額のものをまずチェックする。
5月22日はオープニングであって、始める1時間くらい前から、入口のところに紅い絨毯が敷いてあった。
一体誰がここのレッドカーペットを歩くのだろう、と興味を持っていたら、後で知ったのだが、ヴュルツブルク市長夫妻であった。
この日、ヴュルツブルクで最も人気があるらしい、冒頭の写真の人がバイオリンを弾きながら指揮棒を振った。
レナウド・カプシン(?)でしょうか。
カイサーザール(皇帝の間)の120ユーロを申し込んだが、これは当たらず、バイサーザール(白の間)の100ユーロが当たっていた。
当たっていた、とは、このチケットはくじ引きになるからである。
ドイツの方々は、どうせ当たらないから、と最初からあきらめているところがある。
ところが、私たちは日本人だものだから、それで選んでいただいたのだろう、と思っている。
この注文の仕方も日本にいては大変難しい。
メールなどで注文できるが、多分これでは当たる確率は低いだろう。
これを、バイザーライターのオーナー御夫妻が実際に市役所に出かけて注文してくださったから当たったのかもしれない。
料金はカードで払う。
このオーナー夫妻に、この段階ではまだ私たちはお目にかかってもいない。
ただ、日本語のメールでいろいろと交流をしていたから、すっかり信じ切っていた。
ピーターさんと恵子さんのご夫妻は、本当に誠実で、ボランティア精神にあふれていた。
ヴュルツブルクは、滋賀県の大津市と姉妹都市契約を結んでいるから、大津市からの招待客が何名か、カイサーザール(メイン会場)の真ん前に席をもらっていらっしゃった。
また、シーボルトの故郷であるため、長崎市とも交流があり、長崎市からの招待客も名前を呼ばれていらしたようだ。
純粋な日本人観客は、おそらく、この日に限っては、私たちだけだった。
だからこそ、このコンサートに参加できることは喜びなのである。
次回のオーボエを聴いた時には、もう一組日本人旅行者がいらっしゃったが。
年齢も同じくらいの彼らは、ラッキーだった、ラッキーだった、と大層興奮していらっしゃった。
オープニングが始まる少し前、大勢の人々がレジデンツ前の広場に正装で現れる。
まだ陽が高いので、汗ばむような石畳の上を、人々が集まってくる。
男性はモーニングだったり、女性はドレスやよそ行きの洋服である。
私たちも一応それなりの服装をして、かなり早くに到着した。
正面の噴水の前で記念写真を撮ったりして…。
招待客や市長夫妻が、長い長いタイをひらめかせてレッドカーペットを歩いて中に入っていくと、一般客もぞろぞろと入っていく。
入口のところで、その市長ご夫妻が(その時にはまだ市長夫妻とは知らなかった。友人たちが、政治家だ、と後で教えてくださったのである)
こぼれんばかりの笑顔で握手で迎え、周囲にはカメラが何台か回っている。
素知らぬ顔で握手し、中の小さなテーブルに準備してあるワインをてんでに飲んで、語り合い、笑い合い、西洋の社交界の雰囲気を味わいました。
最も、日本だとお茶会の雰囲気がこうだから、特に恐れる必要はありません。
ただ、皆さんが正装し、精一杯おしゃれしていらっしゃるのが印象的だった。
日本でも、コンサートや能の会などの時は、演者に敬意を払って服装に気を配ることは、マナーだろうと思ったことだった。
演奏については、いずれまた。