ウイリアーナ ロパートキナ
まるで田舎の純粋な娘のような素朴なまなざしで、
「自分がバレリーナになれるとは思わなかった」
バレーを始めたのは、
「母親に連れられてバレーの学校へ通いだしたのが始まり」
どうして20年もプリンシパルでいられるのですか?
「じぶんが名声を得ても、それは忘れることね」
「もっと高いところを目指さなくてはいけないの」
芸術家の世界は自己顕示欲の塊のような世界か、と思っていたが、ロパートキナは全然違った。
むしろ、自分の仕事のデキだけに関心があるようだ。
まるで、孤独に厳しくハガネを打つ、刀鍛冶のよう。
瀕死の白鳥は、体重を感じさせない。
今にもくずおれてゆきそうで、映画館の座席を飛び越え、観客を押しのけて早く助け起こしに行かねば…。
と胸が締め付けられるほどに憐れだ。
あの表現には、恐らく、体中の力を筋肉と神経に集中させて、体重の2倍くらいの力を使っているのかもしれない。
彼女は29歳で娘を産んだ。
抱っこしていても、娘と共にいても、どことなく照れているようで。
母親の顔には、なりたくてもまだなれないように見える。
深い信仰心を持つ。
本物は、本物らしくない顔をしている。