ラスト ドライブ
「ラスト ドライブ」とは、ホスピス住まいの、死を数日から数週間後に控えた人々に、最後に行ってみたいところの希望をかなえるドライブ、という意味である。
主催するのは、ドイツのエッセンで2014年に始まったNPO法人、ASB。現在では、ドイツ、オランダなどに、10か所の拠点を持つそうだ。
番組では、エッセンとミュンヘンを取り上げた。
3人のスタッフ以外は、すべてボランティア。80人くらい。
何らかの資格(看護師、ソーシャルワーカー、消防士、医師 等々)を持っているボランティアの人々が、救急車を改造した「願いの車」に希望者を乗せ、同乗して、最後の希望を叶える。
希望者は、どんなわがままを言っても良い。
ドキュメンタリーだから当然なのだろうが、登場人物はすべて自然体である。これを淡々と描いている。
乗客の人生は当然描かれるが、付き添うボランティアの人々の人生もそれにつれ、あぶりだされてくる。
死にゆく人々に付き添うことで、自分もまた癒されていく。
自然に畢ることを選んだ人々の最後の、人生に噓をつかない只管打坐がそこにあった。
とても胸を打たれた。
製作者を見ると、NHKBSドキュメンタリー部門。
驚いた! イギリスBBCあたりかと思った。こんな良い番組は、イギリスのおはこだから。でも、
NHKもこんな良い番組を作れるのね。嬉しいことこの上なし。
さすが、NHK! と言いたかった。
最近のNHKには、特に若い女性アナウンサーの自己顕示欲のあからさまと声の悪さ、肌の露出度の大きさには、落胆を通り越して怒りまで湧いてきていた。
だから、BSか録画した共感できるものしか見なくなっていた。良い番組を見たければBSに入って下さいよ、というわけだろうか。
でも、日々良い番組作りに励んでいらっしゃる社員はまだいらっしゃるのだと安心した。